祖母の優しさを思い出す

「西の魔女が死んだ」を読んで

 祖母の温かみはいいものだなと思わせてくれる話だった。今では、少なくなった外国人に対する偏見だが、昔はもっと偏見が強かったのだろう。魔女と孫に名乗る祖母は、とても穏やかで優しいどこにでもいそうなおばあちゃんだった。そんな祖母と過ごした日々を孫である‘まい’の回想はとても美しく、面白かった。祖母の家で見た景色や色が得に美しいものであり、ハーブティーをくるくると透明な琥珀色の玉と表現したり、綺麗な世界だった。
 本の題名にもある「死」という字はこの話のキーワードでもあった。‘まい’は祖母に「死」について質問する。そこで祖母は「死」について人には魂があると語っていた。死ぬということは身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだと。この語りは重いと思っている「死」の概念を軽くする言葉だった。この作品では、「死」は怖いものではなく、美しいものに描かれている。悲しい、苦しいと思われがちな言葉を話の通して、美しいものに変えている凄い作品だと思った。
 祖母は‘まい’にとって大切な人物だった。しかし、そんな祖母が他界してしまう。‘まい’には悲しみもあるだろうが、祖母の「死」はそれでも祖母の教えにより、ただ悲しいだけではないものとして描かれた。こんな綺麗な作品はなかなかないだろう。
 
 

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