しあわせの価値観

「燈籠」を読んで

 突発的な衝動というものは人を狂わせ、後に後悔することすらある。さき子も男子学生にどうか笑顔になってほしいという思いだったのだろう。さき子がおまわりさんに言った貧乏な人ほど牢に入れられてしまう。彼らは人をだましていい生活をするほど、悪がしこくないから、と。これはきっと、的を射た考えだったと思う。しかし、貧乏だからって不幸だということはない。さき子は最後、電球を変えることくらいが私たちのしあわせだと言っているが、そんなしあわせも実は儚く、美しいしあわせの一つだと気づくのだ。これは、しあわせの捉え方はいろいろあるが、どんなに小さなしあわせでも人は心が癒させるのだと思わせてくれた。

*女生徒 太宰治 角川文庫*



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