詩の代表者
「きょうの私にさよならしましょ。」を読んで
金子みすゞと言えば、誰でも一度は聞いたことのある詩人だろう。この本は金子みすゞの詩を集めた本である。金子みすゞは26歳という若さでこの世を去っている。彼女はそんな若さで、日本に残り続ける詩を書いたと知った時は驚いた。改めて、金子みすゞの詩を読んでみたいという思いで、取ったのがこの本である。
本書で心に残っている詩は、やはり有名な「私と小鳥と鈴」だろう。小さい頃読んだが、今でもよく覚えている。改めて読んでみても、良い詩だなと思った。「鈴と、小鳥と、それから私、」というフレーズが得に良い。自分中心になりがちな詩を、他を優先して私ときている。金子みすゞの他人を思う気持ちがよく出ていて素敵だ。他には「おさかな」という詩も気になった。魚だけは人間の世話にならず、食べられてしまい可哀そうだという詩だ。今では、養殖業なども盛んになり、魚を育てることも多くなったが、やはり魚といったら釣りだろう。金子みすゞは、そんな魚たちが何にもしていないのに人間に釣られ、食べられるのが不思議だったのだろう。魚の気持ちにもなれる金子みすゞだったのかと思った。
詩という短い文章に気持ちや伝えたいことを詰め込むのは難しいと思う。しかし、金子みすゞはそんな綺麗な詩をいくつも作っていた。普段は気づかない視点からの思いを綴った詩、動植物たちからの目線、季節、天候、いろんな詩があり、どの詩もスッと心に入ってくる。金子みすゞの考えが広がれば、誰もが素敵な思想を持つことが出来ると思う。亡くなっても、語り継がれていく金子みすゞの詩。彼女の詩には、人の心を掴む言葉が詰め込まれていた。
*きょうの私にさよならしましょ。 金子みすゞ 小学館*
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