人の変わりようの見るほど怖いものはない

「きりぎりす」

    夫への妻からの手紙の形で綴られた物語だった。夫は売れない画家だったが、売れるようになってから人が変わったようになってしまった。人付き合いが多くなると、それだけ口が達者になり、悪口も増える。収入が増えれば、お金にうるさくなる。名声を得れば、昔の恩人への気持ちも薄れることだってあるだろう。そんな俗人にはなって欲しくなかった、綺麗ていて欲しかった妻。お金は人を狂わせる。お金があれば幸せな人もいるが、きっと人間関係はギスギスすることもあるのだろう。これでは貧乏の方が助け合いなどで勝る。どちらが、幸せなのか分からないが、これだけは言える。お金は怖いと。

*女生徒 太宰治 角川文庫*

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