表沙汰にされた罪
「万灯」を読んで
外国での交渉というのは、日本と全く違って大変なのだろう。それでも何とか、お金があれば解決してしまうことも多い。しかし、一番厄介なのは、お金はいらないという者たちなのかもしれない。地元を愛し、豊かにしたいという気持ちが強く、他人に荒らされたくない。これは、開拓したい企業としては痛手である。井桁商事の伊丹はパングラデシュの天然ガスを手に入れる為、天然ガスのパイプラインの途中にあるボイシャク村に交渉に行くがなかなか上手くいかない。そんな中、村から呼び出しがあり行くと、他会社であるOGOの森下もいた。二人は開拓を拒むアラムから、パングラデシュの未来の為、天然ガスは渡さないと言われた。しかし、アラムに反対の村人たちもいた。伊丹らはアラム反対者と共にアラム殺害へと踏み出す。アラム殺害後、事業は上手くいったと思ったが、森下は仕事を辞めていた。伊丹は森下殺害へ思い至った。森下が白状する前に。
この作品では、会社の事業の為にいろいろな人が怪我をしたり、亡くなったりする。これから得られる教訓は、やりすぎたことには報いがある。きっと伊丹は事業の為といい、人間的感情を捨て、殺害を犯した。結局事態は、ばれてしまう。森下の持ち込んだコレラにより、捜索されてしまうのだ。ばれない隠し事なんてないのかもしれない。
*満願 米沢穂信 新潮社*
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