野菊の如き君なりき
「現代語で読む・野菊に墓」を読んで
伊藤左千夫の代表作「野菊の墓」を現代語で訳された本で誰でも読みやすくなっていた。中学生の政夫と2つ年上の従妹・民子の初恋を描く青春物語。明治時代から語り継がれて、今も記憶に残る恋愛小説とも言えよう。幼いころから遊んでいた二人が、周りの人から年頃になってもくっついて居るから、からかうようになり逆に異性として思い始める。
二人が綿を取りに行った時、政夫が野菊が好きな民子に自分も野菊が好きだと伝える場面はなんだか淡い恋を感じた。直接には言わず、遠回しに民子が好きだと伝える政夫。二人の探り探りに好きだと確認する姿が見えてきて、なんだかこそばゆく感じた。これが、昔の告白だと思うとなんとも日本人らしい素敵な告白だと思った。
「野菊の墓」のような青春物語が昔から人気があるのは恋愛というものは、決して現在も変わりなくあり、面白いからであろう。明治から人の恋は変わらずあるから、面白いのだ。
初恋は忘れられないし、懐かしく、淡い思い出ともなる。そんな初恋をイメージした「野菊の墓」はなんとも言えない、心地よい恋を見せてもらった。
*現代語で読む・野菊の墓 ・ 伊藤左千夫 他 ・ 理論社*
コメント
コメントを投稿