読書感想文の参考にしていいよ3
「パン屋を襲う」を読んで
人は空腹になると、頭が回らなくなり、イライラしてくる。食事は心の休養と言ってもいいほど、大事なものだろう。この本は二章に別れていて、「パン屋を襲う」と後日談として書かれた「再びパン屋を襲う」で構成されている。「パン屋を襲う」では空腹の彼と相棒がパン屋を襲うのだが、店主はただで食ってけと言う。しかし、彼らは悪に走っているのだから、他人の恵みを受けられないという。そこで、店主はラジオで流れているワグナーの音楽に耳を傾けてくれたら、食べてもいいという交換条件をだした。彼らは条件をのみ、パンを食べ物語は終わる。「再びパン屋を襲う」ではパン屋を襲った彼が相棒と別れた後、職に就いて、結婚して妻にパン屋を襲ったことがある話をしたところからはじまる。
この本は、後日談にパン屋を襲った話を引き継ぎ話が展開されてるところが面白いなと思った。前半の物語を昔話として、それを軸にして後半のが話が続く。しかも、パン屋を襲った時の主人の考えがモヤモヤするから、そのモヤモヤを解消するにはもう一度襲えばいいと妻が言い出すのだ。これが「再びパン屋を襲う」ということだ。
ここで気になったことがあった。それは、妻がパン屋を襲うと決めた時、散弾銃とスキー・マスクを持っていたことだ。なぜ、そんなものを持っていたのか?それは彼女もまた、昔強盗などをしていたと考えるのが簡単だろう。だから、彼女が夫のパン屋を襲ったことがあると聞いた時、あまり驚いた反応が書かれていないことにも納得がいく。
なかなか解釈の難しい本だったが、この頃の村上春樹は切実な思いで書かれていたのは伝わった。
*パン屋を襲う 村上春樹 新潮社*
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