億万長者の末路

「億男」を読んで

川村元気さんの本を読んだのは、今回で3冊目。どれも共通する点は、恋愛の話が絡むところ。「億男」では宝くじで3億円手に入れた男をベースに友情、恋愛、お金が交わった面白い物語だった。

 この物語では題名の通り、「お金」がテーマで進んでいく。「お金と幸せの答え」を求める人々のお話。お金があれば、何でも買えるし幸せにもなれる。しかし、お金を手に入れることで無くしてしまうこともある。お金持ちにしか分からないこと、お金では得られないものがあること、そんな大切なことを教えてくれた。

 チャップリンの言葉がよく出てくる。「人生に必要なもの。それは勇気と想像力と、ほんの少しのお金さ」という言葉。確かに、彼の言葉の通りなのかも知れない。お金がたくさんあったって、楽しい思い出ができるわけでもない。お金がたくさんあるからって、幸せを感じられないんじゃいい人生だと思えないのではなかろうか。多くの人が大金を持つことで幸せになれると信じ切っている。しかし、それ以前に大切なものがあるのではないか。
 
 この物語にはもう一つ、伝えたいことがあるなと気づいた。それは、「信頼」だ。お金では買えないものの一つ。お金がテーマだから、余計に目立つ「信頼」というメッセージ。そんな簡単に思えるが、難しい「信頼」するということ。
 
 3億円を手に入れた男、一男。彼の親友だった九十九。二人合わせて百パーセントという友情には憧れを抱いた。結局、最後の最後までどんなことをされようとも、お互いを信じあっていたという二人に感動した。 
 
 川村元気さんはこの二人の物語で「信頼」するということを伝えたかったのではと思う。

*億男 川村元気 マガジンハウス*
 

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