恋愛は外堀から攻めろ
「夜は短し歩けよ乙女」を読んで
アニメ映画化され、注目を浴びた一冊。日常の中に夢のような非日常が合わさりつつ、変わった表現で描かれる物語は読者を魅了してくる。先輩(私)と黒髪の乙女の目線から交互に描かれるこの本は、物語を本当の第三者から二人の行方を追っているみたいな感覚に陥り、物語を遠くから広く見つめることが出来た。
天然な黒髪の乙女が行く様々な場所で起こる、奇々怪々な面白いこと。彼女はそんなことに巻き込まれながら、それを楽しみ、そんな彼女に恋する先輩(私)もまた巻き込まれながらも彼女の後を追う。
この物語の面白いところは、彼女と会うため追いかける先輩(私)がなかなか彼女にたどり着けない様子を所々に入れてくるあたりにあると思う。
黒髪の乙女の奇々怪々な話の箸休みのように、忘れた頃に出てくる先輩(私)の語りが物語を奥深くしている。それがまた、先輩(私)に親近感を沸かせ、心を一旦落ち着かせてくれる。
独特な言葉や文章の構成で、一風変わった雰囲気を作り出し、個性豊か過ぎる面々が繰り広げる、京都の街並みが目に色濃く映った。
*夜は短し歩けよ乙女 ・ 森見登美彦 ・ 角川書店*
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