大切なことを気づかせてくれる本

「お茶が運ばれてくるまでに」を読んで

キノの旅を書いている、時雨沢恵一の世界観が美しい詩の一冊だった。黒星紅白のかわいくて、淡い絵のタッチで描かれた絵が作品の雰囲気を掴んでいた。中でも印象的だった詩がある。

「やりたいこと」


まず、自分の年齢を倍にしましょう。


そして、その歳になった気分になってー


「ああ……、せめてあと半分若ければ、私にだってあんなことができたのに」


そう思ったことを、今からやりましょう。  (本誌より) 

 

 これを読んだとき、なるほどと思った。そんな考え方があったかと。文章の中に詰め込まれた、作者の思いがこんな短い文で表現出来る詩は素晴らしいと思った。簡単にすぐ読めるからこそ、心に残る文章といういうのが難しいが、心に残る詩に出会った時、それはずっと残り続けるのだろう。
 タイトルにもなっている「お茶が運ばれてくるまでに」というぐらいの時間で読み終わってしまう本だが、そこにはぎっしりと伝えたい大切なことが詰まっていた。
 
*お茶が運ばれてくるまでに 時雨沢恵一 メディアワークス文庫*

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