本屋で働きたくなる優しいお話

「天国の本屋」を読んで

死んだら天国は存在するのだろうか?きっと綺麗な高原にお花畑なんか想像してしまうだろう。しかし実際には、天国にも生活があって現世と同じような生活をしているのだ。あの世とこの世、表と裏という2つは繋がっている。

 死んでもいないのに、天国の本屋さんでバイトをすることになった主人公の「さとし」。そこのバイト先では朗読のサービスがあり、その仕事を受け持つになる。心配だったさとしだが、さとしの朗読は評判になるほどの人の心を掴む朗読だった。彼の朗読を軸に紡がれる物語は、やがて一つの線につながっていく。

 この物語では色々な本が人の心に残っている本としてたくさん出てくる。本というものは時に人に感動を与え、思い出となり、心理の一部となる。一冊の読んだ本が、その人の人生をまるっきり変えてしまうことだってあるのだから、本というものは侮れない。そんな本に出会えたらどんなに嬉しいことだろうか。一冊でもいいから探し出したい、そんな気分。

*松久涼+田中歩、天国の本屋、新潮文庫*

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