タイトルからは事件が想像できない
「犬はどこだ」を読んで
どんな職業に就いている人でも、こんな仕事は想像していなったということは多々あるだろう。やりたいことだけが仕事になることは、本当に幸せなことだろうと思う。今回の物語は、そんな本来受けるつもりはない依頼が舞い込んでくるところから始まる。犬探しを専門に立ち上げたはずだった探偵事務所に訪れた、失踪した女性の捜索と古文書の解読。そんな2つの依頼が交差する物語。やはり、米澤穂信先生は最後の最後に推理を紐解いてくれる爽快感を与えてくれる。今回もそうだった。尊敬する。
本のタイトルにもなっているキーワードであろう「犬」は物語にどんな効果を与えてくれていたのだろうか。物語の中盤に凶暴な野良犬が出てきて、捕まえるという件がある。そこの件を考えてみると野良犬の退治は単純な仕事だと読み取れる。その事から犬と人の事件を対比させて、人の事件がいかに難事件になり得るか暗示させていたのだろう。
「犬はどこだ」というタイトルから色々な思いを感じさせてくれるものだった。
*米沢穂信(2008) ・ 犬はどこだ ・ 創元推理文庫*
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